眼瞼けいれん、ジストニア治療の道のり

私自身が10年間、苦しんだ、
「演奏家に多い」と言われる病気の、手術と治療について記しています。

2、もう少し「眼瞼痙攣」&「ジストニア」とその治療について知りたい方へ

私の場合の「ジストニア」という病気(目の痙攣〜顔全体へ)...

私の場合の、「ジストニア」という病気

★1、ざっくり、言うと、、

「自分の意思に関係なく、顔の筋肉が動いてしまったり、首や背中が曲がってしまったり、手や指や足が曲がってしまったり、思うように動かなくなる」という症状です。

(私は目から始まり、顔全体に広がりました)

※1、原因は「脳から間違った信号」が送られてくる事によって、そのような症状が出ます。

※2、治療法は、「脳に電極を埋め込む」&「胸にペースメーカーを埋め込む」ことで、電流を流し、「間違った信号をブロックして、脳からくる信号をコントロール」します。


 

★2、NPO法人のHPが「ジストニア」の説明、としては、解りやすいです。

「だいたい」あってます。
(ネットやメディアの情報が常に、正しいならば、こんなに苦労しません。)

NPO法人ジストニア友の会「ジストニアについて」

間違ってるのは、最後の方の(中盤から 後半に入るあたり、、)

※1、「現在の治療は対症療法しかなく、長期にわたり薬剤の服用およびボツリヌス治療等を行うこととなります」

私は長年「対処法」のみで苦しんだ末、「対処法」だけでなく「治療法」を持っている先生に出会いました。

※2、そして、意味の無い、記述は、一番最後の

「ジストニアは今までよりも、普通に生活することが不自由で困難になりますが、生命にかかわる病気ではありません。
多くの場合、病気と共存しながら、生活することになります。もちろん無理は禁物ですが、できること、やりたいことをするという意欲を持って生活したいものです。」

とかです。
一言で言うと
「辛いかもしれません、職業に就くのも難しいです。でも希望を持って、やりたい事をやって、生きてください」とか言ってます。

「できること、やりたいこを意欲を持って」できる状況では、無いことは確かです。
私も結構、頑張っては来たけど、無理です。無神経な発言です。
何の救いにもならないばかりか、患者の心を一層、傷つけるだけです。

 


 

「私のジストニアの経緯」

1、「瞼の痙攣」~ボトックスによる「対処法」

★10年ほど前、突然 「瞼の痙攣」が始まりました。
わかりやすく言うと、「石原慎太郎(元)都知事」のような症状です。
瞼が、自分の意思と関係なく「ぎゅっ、ぎゅっ」っと動き続けます。

NPOのHPにあるように「眼瞼けいれん」という症状です。

★当時はまだ、保険適応されていなかったので、相当の数の眼科を渡り歩きましたが、
「眼瞼けいれん」という名前は、出てきませんでした。

※ごく近年、保険適応になってからは、多くの眼科HPで「眼瞼けいれん」という文字がみられます。

★眼科を渡り歩いた末、「山王病院」に、いらしていた、「美容整形」の先生(元、眼科医)から、
「ボトックスという注射で、動きをとめられますよ」という、朗報を手にしました。

★その日から「2~3ヶ月に一度、目の周囲の筋肉にボトックスを注射する」という「対処法」で、かなり、生活は楽になりました。

※「保険外の注射」を打ち続ける、という経済的な問題と、
何よりもボトックスは「万が一抗体ができてしまうと、効かなくなってしまう」という恐れ、

また、目の周りなので「1つ間違うと、ボトックスが違うところに効いてしまって、逆に目が開かなくなる」という恐れもあります。

※実際、私も1度、右目の注射が違うところに入ってしまい、ボトックスが切れるまで、3ヶ月くらい「片目で過ごす」というのを、経験しました。

★1年ほど、この注射を続けた後、「づっとこのまま、注射を打つのも、どうなのか???」と思い、
先生に相談して、「眉毛の上を切開して、動きすぎて、山ほどある「眼隣筋」を、ごっそり取る」という手術をしました。
※目の周りには、ものすごく沢山の筋肉があります。

※先生の忠告(助言)
「かつての症例から言うと、筋肉は、取り除いても、再び発達してくるので、もしかして、半年~1年、楽になるかもしれないけれど、
また症状がもどってくる。(他の筋肉が発達してくる)という事例が多いです。」
↑ ↑ ↑
先生のおっしゃった通りの結果でした。

★それ以降、数年、またボトックスでの「対処法」をひたすら続けました。


 

2、「目が開かなくなる」症状。

★ボトックスでの対処を始めて、3~4年が経過し、今度は、
「気がつくと、目が閉じている」(薄目しか開かない)
という、以前より困った症状に変化してきました。

※「マバタキの回数と、目を開いている時の時間が、普通の人と逆」という感じです。
サングラス生活が始まりました。

★目はほとんど、開いていられないので、閉じたまま仕事をする。
(薄目しか開かない)

タップダンスが「音の出るダンス」で、良かったです。

※ 生徒さんには、申し訳ないけれど、1レッスンの中の大半は目を閉じたまま、
「左後ろに、困ってそうな人がいる」とか「右の方向に、わかってなさそうな人がいる」などを「音のみ」で判断して、
その生徒さんを見る時だけ、薄く目をあけて、「何が問題なのか?」を見極めてから、また、目を閉じたまま、教えさせて頂いていました。

★ボトックスは続けました。「ここに打つと、目が開きやすくなる」という場所に打って貰う事を重視する方針に、変わってきました。

※この方法で、「注射が効いている時は目を開けやすい」という状況がしばらく続きました。


 

3、「ボトックスが効かない?!!!」

~ 「目の切開手術、再び」&「症状が顔全体に広まる」

★ 2013年の終わりくらいから、2014年の初め頃に気づいたこと、それは
「今まで、ボトックスが効いてる時は、比較的、楽に仕事ができていたのに、打っても、打っても、楽にならない!!」という事。

★ 絶望的になった私は、
「短期間でも?!!!」と思い立ち、
再び、今度は、眉毛の下を切開しての手術を試みました。
結果は、以前の切開以上に、ほとんど、「成果なし」、
「また、無駄に顔面を切った」のみ、です。

★長年、注射を打ち、
その都度、写真を撮って記録していた先生の懸念。

「僕さ心配なのは、注射打てば、打つほど、悪くなってないかなぁ?

「それと、去年の写真、今年の写真、そして今、顔を見てると、目だけじゃなくて、ほっぺた、顔の筋肉が、全部、勝手に動いてるんだよね、、」

「何て言うのかな?常に、酸っぱい時の顔? みたいなのが、気になってるんだけど」

「顔、全体に注射打って、全部の筋肉の動きを止めてしまったら、それこそ、しゃべれないし、人前に出られなくなっちゃうよ」

「一度、脳のMRI とか、撮ってみるのは どうだろうか?」
↑ ↑ ↑
※「ジストニア」は 「症状が拡散、拡大するらしい」です。


 

4、脳神経外科の受診 ~ MRI 検査 ~ ジストニア治療へ、、、。

★ 初めて「脳神経外科」を受診し、MRIを撮ってもらいました。

※良かった事 「脳は若々しく、一切、異常無し」
↑↑↑
これも HPのとおり。「ジストニア」は 「脳から、おかしな信号が来ることによって、筋肉や体が変な動きをしてしまいますが、MRI やCTなどの検査で、所見が見つかるものでは、ありません

※さらに良かった事、脳神経外科の先生の言葉、

「ジストニアって聞いた事ある?
辛かったねぇー。遠回りする前に、10年前に女子医大の「平先生」に受診していたら、こんなに辛い想いを、何年もすることなかったのに」

「もう、病院をたらい回しは嫌だ!!!」という気持ちは非常にわかるけど、
「これで 最後だ!!」と思って、平先生の所に行ってごらん」
と、とても暖かい励ましの言葉をかけていただきました。

★ 東京女子医大 脳神経外科「平先生」の受診へ。

一言で言うと、「私の顔を見ただけで、、何がどう辛いか? それが何なのか? そして、あっさり「治療法」を説明できる」先生に 始めて 出会いました。
(それまでは、もどかしい「不毛な説明」を繰り返すのみ)

それまでの、もどかしい「不毛地帯」の例。
1、「人格を否定する医師」
2、「生活態度、習慣を改善するように説教をする医師」
3、一番多かったのは、その医師と、初対面なので、
「最初から、こういう顔の人」と思われる」(『で?どこが 悪いの?目?開いてるじゃん? 目が小さいだけじゃない?)などの暴言です。

という、不毛なだけでなく、苦痛を何度も味わいました。

多くの先生に診ていただいてきましたが、何よりも、
「この先生、わかってる!!!」と 思える、先生だ!!」ということは、瞬時にわかりました。

平せんせい、及びチームの先生は 「診たら、ジストニアかそうでないかわかります」←これ!!!すごいです。

これは、患者(当事者)と、平せんせいと、そのチームの先生しか、解らないかもしれないけど、「違いは何?」「本当にそう?」とか 聞かれますが、そうなの。

それで、いいです。患者と先生が解ってたら。
と、いうより他の人には、わからないのは仕方ないです。

平先生は、「解っている!!」そして、何がどう辛いか?とか言わなくても、解ってる!!!っていうのは、とにかく、瞬時にわかりました。
(10年間で、初めて、そんな先生に出会いました!!!)


 

★「平先生の説明」(※私の場合です)
※(治療は、症状により異なる場合があります)

※1、オペ1

「脳から、間違って送られる信号をコントロールするために、まず 脳にチューブを差込みます」

※2、オペ2
「両胸にペースメーカーを入れて、脳への信号コントロールします」

※3、「ペースメーカーを入れての生活は、今までと全く変わりないです」 (古い情報の「ペースメーカーを入れてる人の生活」については、全て大きく「×」印がしてありました。

※4、ペースメーカーを入れて、かつてのように、「携帯電話とか、電子機器に近づけない」などの事があれば、それこそ、生活に支障がありすぎて、何もできません。

※5、多くの、ミュージシャン、プロスポーツ選手もこの手術を受けて、演奏や競技生活に復帰しています。激しい運動なども全く問題ないです。

※6、「今の苦痛が、100だとして、術後、その苦痛が70とか、50にしかならないのなら、脳に穴を開ける手術、薦めません!!!
通常で、現在、100の苦痛が、30、人によっては、15とか、ゼロになる事もあります」

※7、辛い中、申し訳ないけれど、手術が4~5ヶ月待ちなのです。苦しんでる人が、沢山いるので、待っててねー。治るからね。


 

この10年間で、初めて、「希望の持てる」話をききました。
どんな、先生でも、めったに「治るから」とか、安易に口にしません。

脳に穴を開ける手術、という事でかなりの恐怖があり、密かに「遺書」を書いていることについても先生に話をしましたが、

「あはは、まぁ、書いてもいいです。飛行機に乗る前に、遺書書く人もいますからね」と笑い飛ばして下さいました。

私は「このオペにかけるしか、私の未来は無い!!!」と、決意しました。